’0609ロンドン。市場原理主義のシンボル?由緒ある古い街並みも何のその、にょっきりと“それ”をおっ立てて見せるところは流石、今をときめく金融大国・英国の勢いを感じます。(“それ”はクリックすると拡大します)
長期間の経済停滞で行き詰った前覇権国家英国の首相・鉄の女サッチャーが導入し、現覇権国家米国の大統領レーガンが追従した「市場原理主義経済」。
1995年は、米国政府(ルービン財務長官)の明確な意図の下に「資本の移動によって、動かされ、形づくられる“グローバル化市場主義経済”」が構築されて、実物経済が終わり、米国主導の金融経済時代の幕開けを画する年であったという。
時あたかも、世界はソ連邦の崩壊で東西冷戦が終結しユーロ圏の成立があった。また技術面ではパソコンの一般普及を可能にした画期的なITソフト(マイクロソフト・ウインドウズ)が売り出された。冷戦の終結は軍事費等の急速な縮小による巨額な金余りを生み、共産圏の枠組みの崩壊は一定の教育水準を持った膨大な数の労働力の市場経済への開放を伴った。
時も味方して、米国が意欲的に推進した「統一世界市場化戦術(※1)と時を同じくするITの驚異的な進化」が効を奏することとなり、世界の余剰資金は金融技術で優位に立つ米・英に還流して世界最高水準の国民消費を支え、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、更にはVISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)等の新興国に再投資される仕組みが出来上がった。
※1:IMF(国際通貨基金)やFTA(自由貿易協定)他を駆使した金融・貿易面での税・会計基準の各国への押し付け→統一世界市場形成のファンダメンタルズの構築
準備を整えた強大な狩人達(資本・金融力)の前に世界中の手付かずで膨大な数の獲物達(労働力・生産資材・需要)が一斉に開放されることになったという訳である。それはちょうど100年ほど前の東部アフリカ・サファリの何でもありの狩猟天国とでもいえましょうか。
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その結果、世界の金融資産(現在150兆ドル)は今や世界のGDPの3倍へ急成長(10年前は2倍、資産インフレ?)しており、世界の金融取引額(775兆ドル/年)も実物取引額(貿易取引額、9.3兆ドル/年)の実に80倍(過剰流動?)に上るという。
1997年に成長に転じた世界経済は、今世紀に入ってからは世界地域同時成長を続けており世界のGDP成長率(※2)も5%前後(15年で倍増のペース)を維持して、今後しばらくはこの傾向が続くという。
※2.主要国成長率:日やっと2.2%へ、米3.3%、独2.7%、英2.7%、豪2.7%、韓5.0%、中10.7%、印9.2%、露6.7%、伯(ブラジル)3.7%
今や“グローバル化市場主義経済”は文字通りに世界全域に拡がりつつあり、人・物・金を次々に加入してくる新興国が市場補完し合うことで需給バランスの維持が常に可能な状態にある。そして、このことが長期に亘る世界同時成長の理由であるという。
そして当初の思惑超える現象として、EU(ユーロ経済圏)や急成長する中国・インドなど巨大な人口を擁する歴史大国の急速な復活・台頭があって、“グローバル化市場主義経済”は米国(+英国)の一極支配体制から実態としてはも早や多極支配体制に変りつつある。
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国家経済での景気の循環(景気の山~山、谷~谷の期間)は数年~10年未満であった。しかし、国境を越えて拡がってしまった“グローバル化市場主義経済”は前回の景気の底(谷)からの成長開始後10年が経った今も未だ谷はおろか山(頂上)も見えない。
国家経済に比べて“グローバル化市場主義経済”の景気循環はより長いものとなりそうであるが、その予測は難しく、懐を深くする多極化が一方で複雑化も伴って、その性向の経済学的把握はとても出来ないという。
資本のある所から無い所への資本投下が効率的に出来るようになったことで、新興国の貧しい大勢の人々に豊かさへの道筋が開かれ、先進国の有り余る資産も此れまでより高率運用が可能ということで文字通り地球規模に急速普及し始めた“グローバル化市場主義経済”から我々はもう簡単には後戻りできない。
ちなみにバブル崩壊後の日本は、政治家も経済人も世界的な視野を持てず“失われた10余年”が象徴する無気力で不作為な時を過ごしてしまい、“グローバル化市場主義経済”への対応が遅れてしまった。しかし一部の企業や個人の参加は始まっており、資本(年金・保険・国民資産の運用資金)の提供者としては日本も日本人も遅ればせながら色濃くこの経済に組み込まれつつある。
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“グローバル化市場主義経済”はこの10年の継続的生長期間中に一部の先鋭的なヘッジファンド(※3)の破綻やITバブルの崩壊などで景気崩壊への危機がありましたが、幸いなことに小規模な変動に抑えることが出来て中長期的な成長基調に変化はなかった。
※3.ヘッジファンド:大きくレバレッジ(梃子の作用:元本の何倍、何十倍もの借入金の投入など)・M&A・・・など先進的な投資技術を駆使するハイリスク・ハイリターンの冒険的な私慕ファンド。
しかし、世界GDPの3倍の金融資産(資産インフレ?)が実体経済の80倍もの金融取引(過剰流動性?)を行って成り立っている仕組みそのものに「何時何が起こっても不思議でないリスク(※4)」が常在することは投資側では「百も承知の上」という。
※4.:世界中で現在1万本、200兆円が設定されているというヘッジファンドを始めとする膨大なリスク資金の一部の破綻が引き金となって、世界中で逆レバレッジを伴う急速な投資資金の引き上げの連鎖が起こって世界中の市場で急速・大規模な相場の瓦解・縮小が発生することなど。
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今日現在の為替(政策金利)は、118.00円/ドル、162円/ユーロ、(日本0.50%、米国5.25%、EU4.00%)である。この数日、円高となったとはいえ、長年水面下成長の泣かず飛ばずであった日本のGDP成長率が直近になってプラスに転じたのは長年のデフレと著しい円安進行よるもので、日本経済が総体的に成長軌道に乗った訳ではない。
何時までたっても先の展望が開けない日本経済を見限った資本の継続的海外流出が止まらないことによる円価の下落は激しいものがある。米・欧・豪州通貨には無論のことアジアなど新興国通貨に対しても一人負けの体たらくである。
ロンドンの地下鉄初乗り運賃が1000円、ベルリンのマックが830円、パリのスタバ・コーヒーが510円、韓国⇔日本の観光客数の逆転、韓国から日本への買出しツアーの大流行・・・など、昨今の報道が伝える円貨購買力は2、3等国通貨並となってしまった。
見方を変えれば、海外の物品・サービスに対して円は既に著しいインフレ通貨となっているのである。発展する新興国家の旺盛な需要で、ここ数年で3倍となった原油価格を筆頭に食料・工業資源の高騰が始まった・・・いずれ日本は輸入を切っ掛けとした急速なインフレの進行を避けられないことになるであろう。
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急成長を続ける“グローバル化市場主義経済”に否応なく組み込まれ、その荒波に翻弄され、さらに比較劣後し続ける様であれば日本の将来は無い。このままでは、それこそ日本と日本人の未来に「何時何が起こっても不思議ではないリスク(※5)」があるのである。
※5:リスクの最大のポイントは、“グローバル化市場主義経済”が派生するデメリットの多くが国家単位では解決できないことである。(国際的な管理・コントロールの仕組み作りが急務)
①国境を超えて連鎖・跋扈する巨大金融経済を適切に管理・コント
ロールが出来るか→突然の市場瓦解、資産バブルの崩壊、金
融テロ・・・など
②フラット化する労働市場・地域→大競争社会→協調から反目へ
既に企業間では激烈な競争が起きているが、連邦国家、国家、
都市、地域、個人・・・あらゆる領域間で勝ち負けを峻別する激
しい競争
③価値観の世界均質化の進展→独自性の欠落→地域性社会の
弱体化
③格差の拡大による社会秩序破壊→治安の悪化・政情の不安
定化
④環境の急速な悪化
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もうやり直しの効かない歳に差し掛かった私の世代が恐れているのは、日本が低成長・超低金利・円安・デフレ基調を脱することも出来ず、海外資本の導入も望めないまま無為な時を過せば、激しく躍動し成長し続ける世界から更に比較劣後し続けて、デフレはやがてインフレに転じ、老後に備えた蓄えが早々と目減りして底を突いてしまう日が来ることである。
※日本の先行を懸念して、既に企業はもちろん一部の個人がその金融資産を海外金融機関の口座に移し替え始めている例を私は身近に知っている。
好き時代の先輩諸氏の老後は「満々と溢れんばかりにお湯を張った湯船に浸かって、来し方を懐かしみ、行く方の西方浄土に微塵も疑いを持たず、今日の平穏と安寧を楽しむ」ものであったであろうが、私の世代の老後となっては、湯船のお湯が何時しか冷め、また減ってしまうことを常に心配せねばならぬ時代となったようである。
2007.08.04 pm 浪漫老翁乱
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