先月23日に‘05年1月1日現在の全国公示地価が国土交通省から発表された。それによると、全国の平均(全用途)はマイナス5%と14年連続の下落ながら、都心5区の商業・住宅地が上昇、大阪圏、名古屋圏で上昇地点が増えるなど三大都市圏で上昇局面入りが鮮明化し、地方圏では7,8年振りに下落幅が縮小、下げ止まりの兆しが出て来たようだ。
今回の公示地価の特徴は地価上昇地点の箇所数と上昇幅のアップが面へと拡がっていないことで、上昇地点の周辺で下落が見られるなど同一エリア内で格差が出てきたことであります。その好例が地価上昇顕著な都心5区内に在りながら、前年比5.1%減で都内区部下落率ランキング3位に入ってしまった新宿歌舞伎町。因みに下落率1位は築地(5.5%減)、2位は日本橋兜町(5.4%減)であった。
バブル崩壊以来ここまで、土地はその稼ぎ出すキャッシュフロー(生産性)に見合う価格で取引され、それを反映する公示価格が実際の土地取引でも尊重されて来たが、此処に来て人気地域(銀座、秋葉原、六本木など)ではこれを何倍も上回る価格での取引事例が続出しており、昨年までは5%以上あった都オフィスビルの投資利回りは一部で3%台も出始め、ミニバブルの様相を呈して来たとも言われる。(未だ高額対象地が点的で投資家も一般素人にまで拡がっておらず、玄人相場に留まっている?)
不動産取引の過熱の背景は長引く低金利によるカネ余りであり、国内資金を集めるREIT(2兆円)や私募ファンド(2兆円~)に加えてサヤ取り狙いの海外資金が不動産の新たな買い手として台頭しており、物件取得競争の激しさはバブル期に劣らず「首都圏を食い尽くしたマネーが新幹線に乗って西へ西へとじゃぶじゃぶ流れている(大林組の大林剛郎会長)」という。(3/22日経産業紙)
では、マネーがジャブジャブと流れて行った先の様子は如何か?先に発表された大手業者による「主要15都市のオフィス市場動向調査」を元に私がランキング付けした結果は下記の通りである。
’02、3、4年のビル空室率の推移%と’04年の新規需要面積千坪(シェア%)
①都心5区 6.1%(↑)/7.0%(↑)/*5.7%(↓)/222千坪(56.1%)
②東京区部 6.1%(↑)/6.9%(↑)/*6.0%(↓)/260千坪(65.6%)
③横浜 8.2%(↑)/8.9%(↑)/*6.6%(↓)/13千坪( 3.3%)
④名古屋 8.2%(↑)/8.7%(↑)/*8.2%(↓)/11千坪( 2.8%)
⑤大阪 10.4%(↑)/10.6%(↑)/*9.5%(↓)/66千坪(16.6%)
⑥札幌 9.0%(↑)/11.8%(↑)/ 9.6%(↓)/15千坪( 3.7%)
⑦福岡 11.4%(↑)/11.9%(↑)*10.8%(↓)/12千坪( 3.0%)
⑧京都 13.6%(↑)/13.7%(↑)*11.0%(↓)/ 9千坪( 2.3%)
⑨仙台 11.6%(↑)/12.7%(↑)*11.5%(↓)/ 6千坪( 1.5%)
⑩広島 10.8%(↑)/13.1%(↑)/ 13.3%(↓)/ 1千坪( 0.2%)
⑪岡山 13.2%(↑)/13.4%(↑)/13.8%(↓)/0千坪( 0.0%)
⑫高松 14.3%(↑)/19.5%(↑)/17.8%(↓)/4千坪( 1.0%)
⑬神戸 17.2%(↑)/17.2%(↑)/17.8%(↑)/0千坪( 0.0%)
⑭金沢 16.6%(↑)/18.3%(↑)/20.3%(↑)/0千坪( 0.0%)
⑮新潟 18.9%(↑)/20.6%(↑)/20.8%(↑) -1千坪(-0.2%)
*印:空室率は概ね’00を底に悪化上昇しており’04年に反転下降が始まるが、その内二年前(’02年)の水準以下にまで下降したものを示す
オフィス需要は企業の先行き景況感を良く表す指標の一つであり、この結果は現在の地域の景況・競争力を表現していると思われる。三大都市圏で新規総需要の約九割(88.3%)を取り込み、東京23区だけでシェアー65.6%、更に都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)で五割以上(56.1%)を占めて
しまうこの国の在り様はやはり異様であると言うべきなのか。
それにしても、公示地価の商業地上昇率ランキング1~7位までを独占、十番までに八地点が入り、オフィス空室率でも首都圏に続く高ランクを獲得した名古屋地区の安定成長振りは目を引くものがある。トヨタ、イチロー、落合ドラゴンズ、アイス・スケートの安藤美姫、中部国際空港セントレア、愛・地球博、そして先の日曜日の愛工大名電と、名古屋の絶え間ないトピックスの提供とヒーローの輩出とはその溢れんばかりの地域活力を誇示しているようである。
一見、バブルの再来と思われるような人気土地への思い切った高値投資の一方でその周辺であっても一顧だにされない土地の存在。先にも紹介した日経産業消費研の繁華街人気調査「行くようになった繁華街と行かないようになった繁華街」の結果や今度の公示地価、オフィス調査の示すよりドライな評価への移行を伴うこの所の都市・地域間競争の激化は現在の日本の世相を映して「容赦無き優勝劣敗」を正に地で行くもので、この傾向は益々助長されることだろう。
◆写真は陽が高くなり早朝ウオーキングの濠端にも朝日が射すようになった、しだれ柳の芽吹きも始まった日比谷濠の穏やかな朝。
’05.04.05.PM 浪漫老翁乱
最近のコメント